佐久市中込の精神科クリニックです*児童精神科、成人の一般精神科、老年精神科、訪問診療を行っております。

ろくでなしの世界

当直している某病院医局にて。
原稿依頼を受け、少し前にこんな文章を書きました。

この原稿、一般の方は目にする機会がないと思いますが(だから好きなように書いたのですが)、これについて、北信の名も知らぬ方からお褒めのはがきを頂きました。
ときどき、自分のルーツについて思い返して書く作業は、思わぬ成果というか、果実をもたらしてくれます。

高校生のお子さんが「不登校で家でゲームばかりしている」とか、大学生になって「何となく休学しそう」などという相談を受けることがあります。
これは、きわめて単純化した言い方をすれば、その人の根っこが充実してこなかったことの結果だと思います。その人の過ごし方が悪かったとか、自業自得だとかいう話ではなく、
充実した根っこがなければ、自分の興味ややりたいことにひとりでに手を伸ばすことなく、安易な方向に流れて行ってしまいがちになるということだと。

しかし、世の中がより、むき出しで品がなく、弱い人への、包容力のあるまなざしを失ったものになってきているのも、また事実だと思います。
「こんな希望のない世の中に、何で生んだんだ、生まれてこなければよかった」といった言葉には、根っこを充実させてこなかった本人の言い訳と、切り捨ててしまえない真理が含まれています。

それでも、誰に生かされているのかわからないにしても、とにかく人は、生きていかなければならない。(それが何故なのか、ということには、はっきり言って、私は答えられません。精神医学は答えを持つのだろうか?)
では、どうするか?

子ども時代に、人が、一生懸命に取り組むもの。
なにをおいても、どんなに苦労しても、これだけは、やり続けたいと思うもの。
それらを大切にすることに、「ろくでなしの世界」に飲み込まれてしまわないためのヒントがあると考えています。
「子ども時代」なのは、こうしたことが、大人になればなるほど、見つけにくくなるためです。

それらのことが大切にされるように、と切に願います。

今回の原稿は、自分がたいへん幸運だったなあ、と、改めて思い起こさせてくれました。強いられて書く文章も悪いことばかりではありません。
発達障害の方々とは、一生かかわっていきたい。
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