佐久市中込の精神科クリニックです*児童精神科、成人の一般精神科、老年精神科、訪問診療を行っております。

精神神経学会in新潟

木曜はお休みをいただいて、日本精神神経学会に行ってきました。
精神科専門医という資格を持つと、5年などの期間で更新をすることになりますが、期間中に何回か学会に出てポイントを保有しておくことが求められるのです。
新潟では60数年ぶりの開催だったそうで、会場である朱鷺メッセへの臨時バスが用意され、駅にも「歓迎」みたいな看板やら垂れ幕やらがかかっているという力の入れようでした。

結果的には2日目の夕方まで、学会として取得できるポイントの最大まで粘ってそれから帰りました。
勉強になったかというと、微妙です。こういうところに来るとたしかに勉強ムードにはなるのですが、それ以上にたくさん人が来るので「酔う」。
また、大勢いる人のなかで数人の人に声を掛けられるかもしれない、という中途半端な緊張感、さらにはその人と会ったとして何を話すか、そして「どうしたのその頭」と言われるのがとっても気が重く。

ストレスですよ、ええ。(今となっては完璧にかりこなせた日はこの上なく爽快だったりするのですが)

そんなわけで、最後はあまり人の来なさそうなところに陣取って音楽を聴いたりしながら、ひたすら時が過ぎるのを待っていました。
いけない、勉強しなければ…

でも精神科医もこのくらいやってくると、「難治例への薬物療法」みたいな、「これで俺は救われる!」みたいな純粋(かつ単純)なメンタリティは保てておらず、それでうまくいってればみんなハッピーなはずだよ、というひねくれたような見方になっている。現実はそううまくいかないと知っているんですね。
そういうわけで、講演もちょっとひねたような、変化球のようなお題のものに好んで参加するようになるわけです。

たとえば「私たちはなぜクリニックを開業したか -女性医師の場合-」(一部改名しています)。今回は自分的にこれが一番でした。
5人の女性医師が話していただいたのですが、みなそれぞれに面白くて、どれも少しずつ私も共感できるものでした。
「診察室に閉じこもっているタイプではないと思っていた」
「病院の方針と分かれて、自分が要求の多い、うるさいタイプの人間と思われている、お荷物になっていると感じていたとき」「要求するより与える側になろうと思った」
(注;現在の理不尽だらけの診療報酬体系のなかで、要求するされるといういがみ合いをするというのはいかにも不幸なことだと思います。上の理不尽な押し付けに対して現場でいがみ合いをするのではなく、協力して、現場の不満や不合理を「こんなんじゃやってられません」と、どのように上に届けるのかが本来というものだと思います)

「自分が患者さんに『こういうふうにできてよかったね、こうなれてよかったね』といいたいがために、(それによって自分が救われるために)自分のために開業している」
「(当初子育てのために開業したのだが)後から、毎日の単調な診療に、治療の限界を感じ始めた」
「手術をすればよくなるてんかん患者がたくさんいるのに、同僚がいかに説明しても手術をせず、かといって手術を外部に依頼すればそれについて文句を言う」
「後進に勉強を続けること、医療を続けることの大切さを伝えたい」


なんてかっこいい生き方なんだろう。
会場で話していただいた女性医師の方の中には、「逃げるように開業した」と話された方がいました。
時に、患者さんから「人が少なくなっていってやめづらくなる」という話を聞くことがあります。これなどは、家の用事があって定時に上がりたいのに、周囲の目が「俺たちが必死になって仕事しているのに、いい御身分だよな!」と言っているように感じて帰れない、ということと、究極的には上段に書いた「上の理不尽な押し付けに現場で混乱していがみ合っている」と同じことと思います。人が少なくなっていってやめづらくなるなどということは、はっきり言って、その職場の管理者の問題であって、その職場を選ぶか選ばないかは雇われている人の選択だと思います。
気に入らないならやめればいいのだし、人に辞められて自分が苦しいと感じるような職場なら自分もやめると選択すればいいだけの話です。

この方の言い方で言えば、私も同じ、「逃げ」で開業した人間です。しかし今振り返って思えば、理不尽な現場から撤退したことにより、明らかに風通しがよく、自分が納得して選択した方向性を患者さんに提示でき、それによって自分が救われているとも感じています。
この講演で、「組織のために働く」「自分のために働く」ということを考えさせられました。私は、組織のために働くのも、そのために自分が癒されたり救われたりするからであって、けっきょく自分のためにみんな仕事するのだろう、と思っています。それが一度「自分を殺して組織のために」と思い出したなら、「先んじて自分が辞めるのは周囲に悪い」と思った時点で、その組織は自分がいていい組織なのか、を考える必要がある、と思います。
日本はこれからこんな現場が増えてくるのではないでしょうか。しかしそれに、みんなで「こんなんじゃやっていられない」と声を上げていくことが必要なのではないか、と思います。

もう一人、私より卒年4年ほど上で、開業もやはり4年くらい前であった方が、「診療に限界を感じ」「患者さんの居場所をつくりたいと思って」就労継続支援事業所としてカフェを併設した、という話をされていました。もう法人化していて、経営が順調な印象を受けましたが、「ええ、借金を返すまでにあと何年なの??」と思わず訊きたくなってしまいました。

やはり学会のような新しい刺激はいいです。また新たな気持ちで診療に取り組みたいと思います。

(写真)
・会場の朱鷺メッセ。行った木金2日とも、ここは南国なのではないかというような、快晴のとても暑い日でした。
・会場の風景。これは世界での引きこもりの講演で、やっぱりスペインとかアメリカでも引きこもりがいるという話であった。日本では特に失敗に寛容でない文化も関係しているのでは、とスペインの研究者が話していたのが印象的でした。
・ポスター会場と併設した本の売り場と休憩所。会場を歩くのも疲れて、つい立ち寄りたくなります。書店さんが持参した本をぱらぱらめくって、「あ、この本いい」と思って、それをAmaz〇n検索してまとめ買いです(オイ)。こういう買い方は最近は数年に1回しかしません。また積ん読が増えるなあ…
・夜の新潟。新潟市は人口79万人だそうです。長野市の2倍+5万人程度、佐久市の8倍。わう。
相方は知り合いと飲みに行ったときに、もずくを日常的に食べるのだと聞いてきました。何かほっこりしてしまいました。
・新潟シティマラソン。うーん、ちょっと遠いかな!それ以前に、フルを走れる体力がまず必要です。それよりなにより、まずハーフを走れる体力を取り戻さなければ…
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